
社会的なつながりも重視
予防プログラムのなかで医学的見地と同様に重点を置いたのが、「社会環境」だ。ウハンヌ博士は「すでにさまざまな研究を通じて、周囲との連帯感が自殺を予防するうえでとても重要なカギを握っていることがわかっています。空虚な孤独感に陥っている人に、社会との接触を通じて連帯感を与えてあげることがとても大切なのです」と語る。
また、自殺と関連するマスコミの報道自制問題も重要視された。自殺予防プロジェクト委員会の報告書には「自殺は、たとえて言うなら静かな水面に向けて石を投げ入れるようなもの」と書かれている。一人の自殺者によって周囲に大きな波紋が広がり、やがてそれが社会全体に行き渡るという意味だ。
フィンランド国内のマスコミも予防プロジェクトに協力した。自殺願望を誘発し、社会的に波紋を呼びそうな自殺報道を自制したのだ。個人の死亡ニュースを伝えるときも「自殺」という単語を使用せず、その経緯も報道しないという原則を立てた。
86年から97年までの10年以上にわたる自殺予防プロジェクトは、多大な効果を生んだ。90年に10万人あたり30人だった自殺率は毎年低下し、05年には10万人あたり18人に、08年には同16.7人にまで減った。世界第3位だった「自殺大国」としての順位も13位に落ち、フランスやオーストリアと同等の水準にまで回復。「自殺大国」としての汚名を返上することに成功したのだ。
フィンランドの自殺予防プロジェクトの影響を受け、近隣のノルウェーやスウェーデンをはじめ米国や英国、オーストラリアなど10ヵ国で同様のプロジェクトが開始された。
その影響はWHOにまで及び、フィンランドモデルに基づいた自殺予防プロジェクトが世界の模範として紹介されるに至った。
しかしフィンランド国内には、まだまだ解決にはほど遠いとする意見も多い。07年の統計を見ると、自殺は依然としてフィンランド国内の死因別死亡率で4位だ。特に若年層ではいまだに自殺率は高い水準にある。最近の新聞報道では、90年代末にいったん終了した自殺予防プロジェクトを復活させるべきだとする声が、多数上がっている。
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From 韓国「週刊朝鮮」(韓国語)より |
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