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今なぜか世間は「ヤンキー的なもの」で満ちている。書籍では今年に入って、ヤンキー文化を多方面から考察した『ヤンキー進化論』と『ヤンキー文化論序説』が立て続けに刊行。また、映画、コミック、お笑い、様々なシーンで“ヤンキーコンテンツ”はヒットを生んでいる。人は、なぜヤンキーに惹かれるのか。なぜ今ヤンキーなのか。その秘密に迫った。

「ヤンキー的なもの」は今も広がりつつある
そもそも「ヤンキー」とは何なのか。まず、その歴史と定義について難波さんに聞いてみた。
「『ヤンキー』という言葉が生まれたのは1970年代。以来、40年近くにわたってそのコンテンツは、音楽、映画、出版物など様々なメディアを介して流布され、継承されてきました。
彼らのスタイルには、時代や属性によって多様性があるものの、一般的な特徴としては、(1)階層的には下(と見なされがち)、(2)旧来型のジェンダーロール(男女性役割=男性は男らしく、女性は女らしく)を求める、(3)概して早熟・早婚、(4)ドメスティック(自国的)やネイバーフッド(地元)を志向する、など。
また、服装やクルマにおけるセンスも独特で、『過剰でダサいほうがむしろかっこいい』とする美意識があります」
難波さんによれば、こうした条件をすべて満たすコアなヤンキーは減少したが、「ヤンキー的なもの・こと」は今なお薄まりながらも広がっているという。
時代にマッチした価値観と行動力がヒットを生む
たしかに、芸能界でも「おバカタレント」や「元ヤンお笑い芸人」がもてはやされている。また、飲食やアパレル業界にもヤンキー出身社長は多い。本来、反社会的で危険な存在であるはずの「ヤンキー出身」というレッテルが、なぜ世間から好意的に受け止められるのだろうか。
「背景にあるのは、『ヤンキーは家族、仲間、地域を大切にする』という、いわゆる『いい不良』としてのイメージ。実際、多くのヤンキーは若い頃から金銭的に自立し、意外と堅実な生活を送っています。また、彼らには不良時代に培った行動力があり、周囲を巻き込んでどんどん前に進んでいく。これがある一定の方向に向かい、うまく歯車が回り始めると、社会的な成功につながります」
ヤンキーが広く支持を受けているのは、大不況の中でこうした価値観、行動力が見直されているからだろう。
「時代にマッチした特性が、様々な分野でヒットを生む原動力になっているはずです」
ヤンキーがモテるのは女性の潜在的な欲求から
大学でメディア関連のゼミを持つ難波さんは「ガツガツタイプの学生が減った」と感じている。
「昔と比べて、野心がなく、小さくまとまっている学生は多いですね。そういう意味では、ヤンキーのほうが頼もしい(笑)。自分のゼミの学生でも、元気、活動的、気が強いという広義のヤンキー資質を持った学生は、ほぼ全員が大手の人気企業に就職が内定しています。卒業と同時に起業したり、フリーランスとして仕事を始める学生も同様のタイプです」
ところで、いつの時代も悔しいことにヤンキーはモテる。
「肉体的に強い遺伝子を残したいという女性の潜在的な欲求もあるのでは。特に最近は、勉強ができても昔ほど将来は保証されない時代。その点、ヤンキーは体は強靱、周囲には大勢の仲間がいて、協調性があり家庭的。パートナーに選ぶには、もってこいの人材といえます(笑)」

関西学院大学社会学部教授
難波功士さん
1961年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。博報堂、東京大学大学院修士課程を経て、現在関西学院大学社会学部教授。著書に『族の系譜学』『創刊の社会史』など。
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